建物を解体すると、大量の廃材が発生します。「あれはすべてゴミとして処分されているのだろうか」と疑問に思ったことはないでしょうか。
実は、解体工事で出る廃材の多くは再資源化され、リサイクル資源として再び社会に循環しているのです。
本記事では、解体時に発生する廃材の種類や処理の流れ、再資源化の仕組み、関係する法律、そして費用との関係までをわかりやすく解説します。環境負荷を抑えながら安心して解体工事を進めるために、知っておきたい基礎知識を整理していきましょう。
解体工事で発生する廃材とは?
解体工事では、建物の構造や用途によってさまざまな廃材が発生します。木造住宅と鉄筋コンクリート造のビルでは、出てくる資材の種類も量も大きく異なります。まずは、代表的な廃材の種類と、それぞれがどのように扱われるのかを理解することが大切です。
コンクリート・アスファルトはどう再利用される?
鉄筋コンクリート造の建物では、解体時に大量のコンクリート塊が発生します。これらは「がれき」として処分されるのではなく、破砕機で細かく砕かれ、「再生砕石(さいせいさいせき)」へと加工されます。再生砕石は道路の路盤材や埋め戻し材として利用され、新たな建設工事で活躍する資材になるのです。
アスファルトも同様に再生利用が進んでいます。舗装道路の撤去で出たアスファルトは、再加熱・再加工され、再生アスファルトとして使用されます。このように、コンクリートやアスファルトは再資源化率の高い素材といえるでしょう。
木材はゴミになるのか?
木造住宅の解体では、多くの木くずが発生します。一見すると焼却処分されるイメージがあるかもしれませんが、実際にはチップ化され、合板の原料やパーティクルボードの材料として再利用されることがあります。また、バイオマス発電の燃料として活用されるケースもあり、エネルギー資源として循環しているのです。
ただし、防腐剤が塗布された木材や、接着剤を多く含む合板などは処理方法が異なる場合があります。そのため、現場での適切な分別が重要になります。
金属・ガラス・プラスチックの行方
鉄筋やアルミサッシなどの金属類は、スクラップとして回収され、溶解・再成形されて新たな製品へと生まれ変わります。金属はリサイクル効率が高く、資源循環の優等生といえる存在です。
一方、ガラスやプラスチックは素材や状態によって再利用の可否が分かれます。分別が不十分だと混合廃棄物となり、再資源化が難しくなるため、解体段階での管理が重要になるのです。
なぜ分別解体が必要なのか?
廃材を効率よく再資源化するためには、解体時の分別が欠かせません。すべてをまとめて壊してしまえば作業は早く終わりますが、資源としての価値は大きく下がってしまいます。
分別解体とは何か?
分別解体とは、建材ごとに分けながら段階的に解体する方法です。内装材を先に撤去し、設備を取り外し、最後に構造体を解体するなど、工程を分けて作業を行います。この方法により、素材ごとの純度を保ったまま廃材を回収できるのです。
手間はかかりますが、再資源化率を高めるうえで非常に重要な工程です。資源循環型社会を実現するためには、現場での丁寧な作業が欠かせないというわけです。
手間がかかるのに必要な理由
分別解体には時間と人手が必要です。しかし、混合廃棄物が増えると最終処分場への負担が増し、環境への影響も大きくなります。適切に分別することで、埋立処分量を減らし、資源として再利用できる割合を高めることができるのです。
環境保全だけでなく、長期的な社会コスト削減にもつながる取り組みなのです。
建設リサイクル法とは?法律で定められた義務
解体廃材の再資源化は、単なる努力目標ではありません。法律によって義務付けられている部分もあります。
建設リサイクル法の概要
解体工事に関わる代表的な法律が、正式名称「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」、いわゆる建設リサイクル法です。この法律では、一定規模以上の解体工事において、分別解体と再資源化が義務付けられています。
対象となるのは、コンクリート、アスファルト、木材などの特定建設資材です。単に壊すだけではなく、資源として再利用することが前提になっているのです。
対象となる工事規模とは?
延床面積80㎡以上の建物解体などが対象となります。発注者には自治体への届出義務もあり、適切な手続きを行わなければなりません。違反した場合は罰則の対象となることもあります。
つまり、再資源化は業者任せではなく、発注者も理解しておくべき重要事項なのです。
廃材はどのような流れで再資源化される?
解体現場で分別された廃材は、すぐに再利用されるわけではありません。いくつかの工程を経て資源へと生まれ変わります。
中間処理施設とは?
廃材はまず、中間処理施設へ運ばれます。ここで破砕や選別、圧縮などの処理が行われ、再資源化可能な素材と処分対象に分けられます。この工程がリサイクルの要といえるでしょう。
適切な施設で処理されているかどうかは、環境保全の観点からも重要なポイントです。
再資源化の具体的な流れ
コンクリートは再生砕石へ、木材はチップへ、金属はスクラップへ加工されます。その後、新たな建設現場や製造工場へ供給され、再び社会に循環します。資源は一度きりで終わるのではなく、形を変えて使われ続けているのです。
再資源化は費用にどう影響する?
「リサイクルを徹底すると費用が高くなるのでは」と感じる方は少なくありません。確かに、分別解体や適正処理を行うには一定の手間がかかります。しかし、単純に“高くなる”と考えるのは早計かもしれません。再資源化の仕組みを正しく理解すれば、費用との関係はもっと立体的に見えてくるのです。
分別の手間とコストの関係
分別解体を行う場合、建材ごとに工程を分ける必要があります。内装材、設備、構造体と順番に解体し、それぞれを仕分けるため、重機だけで一気に壊す工事よりも作業時間は長くなります。その結果、人件費や管理費が増える可能性はあるでしょう。
しかし、すべてを混合廃棄物として処理すると、処分費が高額になるケースがあります。混合廃棄物は分別が困難であるため、処分単価が高く設定されていることが多いのです。分別を徹底することで、廃棄物としての処理量を減らし、結果的にコストを抑えられる場合もあります。
さらに、鉄やアルミなどの金属類は有価物として買い取られることがあります。市場価格の変動はありますが、スクラップとして売却できる素材があることで、全体費用の圧縮につながることもあるのです。つまり、再資源化は必ずしもコスト増とは限らないというわけです。
不法投棄を防ぐ意味
解体費用が極端に安い場合には、慎重になる必要があります。適正な分別や中間処理を行わず、不法投棄や不適切な処理が行われるリスクがあるからです。実際に、建設廃材の不法投棄は社会問題としてたびたび報道されています。
不法投棄が発覚した場合、処理責任は排出事業者、つまり発注者側にも及ぶ可能性があります。知らなかったでは済まされないのです。適正処理を行うための費用には、分別作業費や運搬費、中間処理費、マニフェスト管理費などが含まれています。
安さだけを基準に選んでしまうと、結果的に大きなリスクを抱えることになりかねません。価格の妥当性と処理体制の透明性を確認することが、安心できる解体工事につながるのです。
環境配慮型の解体を選ぶメリットとは?
再資源化を意識した解体は、単なる環境対策ではありません。長期的な視点で見ると、社会的評価や事業リスクの軽減にもつながります。今後の時代背景を考えれば、環境配慮は“選択肢”ではなく“前提”になりつつあるのです。
企業イメージへの影響
法人が解体工事を行う場合、その姿勢は企業評価にも影響します。近年はSDGsやESG経営への取り組みが重視されており、廃棄物の適正処理や再資源化は重要な指標の一つになっています。取引先や投資家からも、環境配慮の有無がチェックされる時代なのです。
例えば、建物の建て替えや工場の解体において、再資源化率を高めた取り組みを公表することで、企業の信頼性向上につながることもあります。社会的責任を果たす姿勢は、ブランド価値の向上に直結するのです。
将来的な規制強化への備え
環境規制は今後さらに強化される可能性があります。カーボンニュートラルの推進や循環型社会の実現に向けて、廃棄物処理に対する基準が厳しくなることも想定されます。今のうちから再資源化を前提とした解体を行うことは、将来的な規制リスクへの備えになるでしょう。
また、最終処分場の残余容量が限られているという問題もあります。資源を循環させる取り組みは、社会全体の持続可能性を支える基盤なのです。目先の費用だけでなく、長期的な視点で判断することが重要になります。
再資源化を意識した解体は、環境にも企業にもメリットをもたらします。費用の問題だけでなく、信頼性や将来性まで含めて考えることが、これからの解体工事には求められているのです。
解体業者選びで確認すべきポイント
再資源化を適切に行うためには、信頼できる解体業者を選ぶことが何より重要です。どれだけ法律や仕組みを理解していても、実際に工事を行う業者の体制が整っていなければ、適正処理は実現できません。価格だけで判断するのではなく、法令遵守や処理フローの透明性まで確認する姿勢が求められます。ここでは、最低限押さえておきたいチェックポイントを整理します。
産業廃棄物収集運搬業の許可
解体工事で発生する廃材の多くは「産業廃棄物」に該当します。産業廃棄物を運搬するには、各都道府県や政令市の許可を受けた「産業廃棄物収集運搬業者」である必要があります。許可番号があるかどうかは、信頼性を判断する基本的な指標といえるでしょう。
許可には有効期限があり、更新が必要です。そのため、単に番号があるかどうかだけでなく、現在も有効であるかを確認することが大切です。自治体のホームページで許可情報を検索できる場合もありますので、気になる場合は確認してみるとよいでしょう。
また、実際には解体業者と運搬業者が別会社であるケースもあります。その場合でも、適正な許可を持つ業者と契約しているかどうかを確認することが重要です。廃材の流れがどの会社を経由するのかまで把握しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
マニフェスト制度とは?
マニフェスト制度とは、産業廃棄物が適切に処理されたかどうかを追跡・管理するための仕組みです。正式には「産業廃棄物管理票」と呼ばれ、排出から最終処分までの流れを記録します。廃材がどこへ運ばれ、どの施設で処理され、最終的にどうなったのかを確認できる重要な書類なのです。
マニフェストには、紙マニフェストと電子マニフェストの2種類があります。近年は電子化が進み、より透明性の高い管理が可能になっています。適正処理を重視する業者であれば、マニフェストの仕組みについて明確に説明できるはずです。
発注者側も、マニフェストの控えを受け取り、一定期間保管する義務があります。これは単なる形式的な書類ではなく、不法投棄や不適切処理が行われていないことを証明する大切な記録なのです。もし説明が曖昧だったり、発行を渋るような業者であれば注意が必要でしょう。
再資源化の実績や取り組みを確認する
許可や書類だけでなく、実際にどの程度再資源化に取り組んでいるかも重要な判断材料になります。例えば、分別解体を徹底しているか、中間処理施設と適切に連携しているかなどを確認するとよいでしょう。具体的な処理フローを説明できる業者は、体制が整っている可能性が高いといえます。
また、再資源化率の目安や、環境配慮への取り組み事例を提示してもらうのも有効です。単に「適正に処理しています」と言うだけでなく、どのような工程を経て再資源化しているのかを説明できる業者は信頼性が高いでしょう。
まとめ
解体時に発生する廃材は、単なるゴミではありません。分別解体と中間処理を経て、多くが再資源化され、再び社会に循環しています。建設リサイクル法によって一定規模以上の工事では再資源化が義務付けられており、適正処理は発注者にとっても重要な責任なのです。
費用だけでなく、環境負荷や社会的責任までを視野に入れて業者を選ぶことが、安心できる解体工事につながります。
信頼できる業者を探す際は、解体業者紹介ポータルサイト「解体侍!」で複数社を比較し、再資源化に真摯に取り組む業者を見つけてみてはいかがでしょうか。納得できる選択が、未来につながる解体工事への第一歩となるでしょう。















