内装解体とスケルトン解体の違いとは?費用・範囲・注意点を解説

店舗やテナントの退去、リフォーム、事業撤退を検討していると、「内装解体」「スケルトン解体」という言葉を目にすることがあります。しかし、この二つの違いを正しく理解しないまま見積もりを依頼してしまうと、想定外の追加費用や退去トラブルにつながることもあるのです。

本記事では、内装解体とスケルトン解体の違いを明確に整理し、それぞれの工事範囲や費用相場、原状回復との関係、注意点までを分かりやすく解説します。

内装解体とスケルトン解体の違いとは?

内装解体とスケルトン解体は、どちらも建物内部を解体する工事ですが、撤去する範囲が大きく異なります。言葉が似ているため混同されやすいのですが、費用や工期、契約条件にも影響する重要な違いがあります。まずは、それぞれの定義を整理しておきましょう。

内装解体とはどこまで壊す工事?

内装解体とは、主に壁や天井、床材などの内装部分を撤去する工事を指します。店舗の造作や間仕切り、カウンター、什器などを取り外し、ある程度使える状態に戻すのが一般的です。建物の「躯体(くたい)」、つまり柱や梁、コンクリートの構造体は基本的に残します。

例えば、次のテナントがすぐ入居できるように、必要最低限の撤去を行うケースでは内装解体が選ばれることが多いでしょう。あくまで「内装部分のみを解体する工事」という位置づけなのです。

スケルトン解体とは何を残す工事?

スケルトン解体は、内装解体よりもさらに撤去範囲が広い工事です。壁や天井、床材だけでなく、給排水設備や電気配線、空調設備なども原則として撤去し、建物の骨組みだけの状態に戻します。いわば「コンクリートの箱」に近い状態にする工事といえるでしょう。

「スケルトン」という言葉は英語で「骨組み」を意味します。その名の通り、建物の構造体のみを残す状態にするのがスケルトン解体なのです。工事範囲が広い分、費用や手間も増える傾向があります。

なぜ混同されやすいのか?

内装解体とスケルトン解体が混同されやすい理由の一つは、「原状回復」という言葉との関係にあります。退去時の工事=スケルトンと考えている方も少なくありませんが、実際は契約内容によって異なります。

原状回復との違いは?

原状回復とは、賃貸借契約に基づき、借りたときの状態に戻すことを意味します。しかし、その状態が必ずしもスケルトンとは限りません。契約時の引き渡し状態が内装付きであれば、内装解体までで足りるケースもあります。

つまり、原状回復=スケルトン解体とは限らないという点が重要です。契約書の内容を確認せずに判断すると、必要以上の工事を行ってしまう可能性もあります。

テナント契約書の確認が重要な理由

解体工事の範囲は、契約書の「退去時の状態」によって決まることがほとんどです。中には「スケルトン返し」と明記されている場合もありますし、「現状回復」としか書かれていないケースもあります。曖昧な表現の場合は、オーナーとの事前確認が欠かせません。

工事を始めてから条件の認識違いが発覚すると、追加工事や再施工が必要になることもあります。契約確認は、トラブル防止の第一歩なのです。

費用の違いはどれくらいある?

工事範囲が異なる以上、費用にも差が生まれます。ここではあくまで目安ですが、一般的な相場感を整理しておきましょう。

内装解体の費用目安

内装解体の費用は、坪単価でおおよそ2万円〜5万円程度が一つの目安とされています。ただし、飲食店のように厨房設備や排気ダクトがある場合は、これより高くなることもあります。造作の量や廃材の種類によって大きく変動するのが特徴です。

比較的軽微な工事であれば、費用も抑えられる傾向があります。しかし、想定以上に設備が多い場合は、追加費用が発生することもあります。

スケルトン解体の費用目安

スケルトン解体は、坪単価で3万円〜8万円程度になるケースが多いといわれています。設備配管や電気配線の撤去、床のハツリ作業(コンクリートを削る作業)などが加わるため、内装解体より高額になりやすいのです。

特に商業ビルや複合施設では、共用部分との取り合いに注意が必要で、作業制限がある場合はコストが増加することもあります。

費用差が生まれる主な要因

費用差の主な理由は、撤去範囲と廃材量の違いです。スケルトン解体では、内装材だけでなく設備機器や配管も撤去するため、廃棄物の量が増えます。また、作業日数も長くなりやすく、人件費も上がる傾向があります。

単純な坪単価だけで比較せず、工事範囲を正確に把握することが重要です。

どちらを選ぶべき?ケース別の考え方

内装解体とスケルトン解体のどちらを選ぶべきかは、工事の目的によって変わります。単純に「安いほう」「広く壊すほう」を選べばよいという話ではありません。契約条件、次の利用計画、物件の将来価値などを総合的に考える必要があります。状況に応じた判断をすることが、無駄な出費やトラブルを防ぐポイントになるのです。

店舗退去の場合

テナント退去では、まず賃貸借契約書の内容を確認することが最優先です。「スケルトン返し」と明記されている場合は、内装解体では不十分であり、躯体のみ残す状態まで解体する必要があります。逆に、「原状回復」としか記載されていない場合は、契約開始時の状態が基準になります。

例えば、入居時に内装付きで引き渡された場合は、その状態まで戻せばよいケースもあります。ところが、契約内容を正確に把握せずに工事を進めてしまうと、オーナーとの認識違いが発生することがあります。追加工事を求められれば、費用も時間も余分にかかってしまうでしょう。

また、商業ビルの場合は管理規約で工事時間や施工方法に制限があることもあります。こうした条件を事前に確認し、工事内容を整理しておくことが重要なのです。

リフォーム前提の場合

自社で店舗を改装する、あるいは次の入居者が決まっている場合は、工事範囲を柔軟に調整できます。例えば、再利用できる設備や間仕切りを残すことで、無駄な解体費用を抑えることも可能です。すべてをスケルトンにする必要があるのかどうかは、次の設計内容次第といえるでしょう。

改装プランが明確であれば、設計業者や施工業者と連携しながら「どこまで解体するべきか」を事前に検討できます。内装解体で十分なケースもあれば、設備の入れ替えを前提にスケルトン状態にしたほうが効率的な場合もあります。目的を明確にすることが、コスト最適化につながるのです。

無計画にスケルトン解体を選ぶと、後から再施工で無駄が出ることもあります。逆に、内装を残しすぎると改装の自由度が制限されることもあります。次の工事を見据えた判断が必要なのです。

物件売却前の場合

物件を売却する場合は、買主の意向や市場性が重要になります。スケルトン状態のほうが用途の自由度が高く、購入希望者の幅が広がることもあります。特に商業用物件では、買主が独自の内装を施したいと考えるケースが多いため、スケルトンが好まれる傾向もあります。

しかし、必ずしもスケルトンが有利とは限りません。立地やターゲット層によっては、内装付きのほうが魅力的に映ることもあります。すでに一定の設備が整っているほうが、初期投資を抑えられると評価される場合もあるのです。

そのため、不動産会社や専門家と相談しながら、どの状態で売却するのが最も合理的かを検討することが大切です。将来的な価値を見据えた判断が求められます。

トラブルを防ぐために確認すべきこと

解体工事では、「思っていた範囲と違う」というトラブルが発生しやすいものです。特に内装解体とスケルトン解体は、言葉の認識が人によって異なる場合があります。そのため、工事前に具体的な内容を明確にしておくことが不可欠です。

工事範囲を図面で明確にする

口頭説明だけでは、認識のズレが生じる可能性があります。どの壁を撤去するのか、配管はどこまで取り外すのか、床はハツリ作業を行うのかなど、図面や写真で明示することが重要です。視覚的に共有することで、解体範囲の誤解を防ぐことができます。

特にスケルトン解体の場合、天井裏や床下の配線・配管の扱いが問題になることがあります。どこまでが共用部で、どこからが専有部なのかも確認しておく必要があります。事前に合意しておけば、追加請求や再施工のリスクを減らせるのです。

見積書の「一式」に注意

見積書に「解体工事一式」とだけ記載されている場合は注意が必要です。その中に何が含まれているのかが不透明で、後から追加費用が発生する原因になります。内訳として、内装撤去費、設備撤去費、廃材処分費、養生費などが明記されているかを確認しましょう。

また、「別途」と記載されている項目がないかも重要なチェックポイントです。例えば、共用部分の養生費や時間外作業費が後から加算されるケースもあります。細かい部分まで確認し、不明点は必ず質問することが大切です。

解体工事は一度始めると後戻りができません。だからこそ、契約前の確認が最大のトラブル防止策になるのです。

安心して依頼するための業者選び

内装解体やスケルトン解体は、テナント退去や事業計画に直結する重要な工事です。実績のある業者であれば、契約内容の確認や適切な工事範囲の提案までサポートしてくれます。説明が曖昧な業者よりも、根拠を示して話してくれる業者を選ぶことが大切です。

複数社を比較することで、価格だけでなく対応力や専門性の差が見えてきます。焦って一社に決めるのではなく、納得できるまで相談する姿勢が安心につながります。

まとめ

内装解体とスケルトン解体は、似ているようで工事範囲も費用も大きく異なります。違いを理解しないまま進めると、退去トラブルや想定外の追加費用につながる可能性があります。契約内容を確認し、必要な工事範囲を明確にしたうえで、信頼できる業者に相談することが重要です。

もしどちらの工事が適切か判断に迷う場合は、解体業者紹介ポータルサイト「解体侍!」を活用するのも一つの方法です。複数の業者に相談しながら比較検討することで、納得のいく解体工事を進められるでしょう。

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