解体工事を検討し始めたとき、多くの方がまず気にするのが「建物の構造によって費用がどれほど変わるのか」という点です。
木造は安いという話を聞くことがあっても、実際の相場や、なぜ構造によってこれほど差が生まれるのかまでは、なかなか知る機会がありません。
この記事では、木造・鉄骨造(S造)・RC造(鉄筋コンクリート造)の違いをもとに、解体費用の相場と注意すべきポイントをわかりやすく解説していきます。
それぞれの構造がどのような特徴を持ち、どこに費用増加の要因が潜んでいるのかを理解することで、見積りの妥当性や業者選びの精度もぐっと上がるでしょう。
解体費用は構造でなぜ変わる?まずは基本を理解する

解体工事の費用は、建物の構造によって大きく変動します。
まずは、その理由を根本から見ていきましょう。
建物の構造によって作業量が大きく変わる理由
建物は、構造によって使われる材料がまったく異なります。
木造であれば木材が主体で比較的軽いため、重機でも効率的に解体できます。
一方、鉄骨造では鉄の切断作業が必要になり、RC造ではコンクリートの破砕が必須となるため、手間も時間も増えるのです。
つまり、構造が変わると「必要な重機の種類」「作業人数」「工期」までもが変わり、それがそのまま費用に影響します。
これが、構造ごとに相場が異なる根本的な理由なのです。
廃材の種類と量が費用に影響する仕組み
解体で出る廃材も、構造によって大きく異なります。
木材は比較的軽量で処分費も低めですが、鉄骨は重量があり、RC造に至っては大量のコンクリートが発生します。
処分費は廃材の種類と量で決まるため、構造が重いほど費用は増える傾向にあります。
特にコンクリートは重量課金となるため、RC造の費用が高くなる理由がここにも隠されているのです。
周辺環境も構造とセットで費用に影響する
建物の構造だけではなく、周囲の環境も費用に影響します。
接道が狭い、隣家との距離が近い、重機が入れないなど、作業が制限されれば手作業に切り替える必要があり、費用はどうしても増えます。
構造の違いを理解した上で、現場条件も合わせて判断することが大切なのです。
木造住宅の解体費用と注意点

木造は最も一般的な構造で、解体工事においても依頼件数の多いジャンルです。
木造の解体費用相場と安くなる理由
木造住宅の解体費用は、一般的に 3〜5万円/坪ほどとされています。
木材は比較的扱いやすく、重機で効率よく作業できるため、費用が抑えられやすいのです。
また、木材は鉄やコンクリートに比べて廃材処分費が低く、これも費用を安くできる理由のひとつです。
築年数が古い木造は注意が必要なケースもある
老朽化した木造住宅では、建物の強度が落ちている場合があります。
壁が崩れやすく、作業員が安全に進めるために手作業が増えることもあります。
また、増改築を繰り返した住宅では、内部の構造が複雑になっていることも多く、想定以上の作業が必要となる場合もあります。
築年数の古い木造住宅は、相場より費用が上がる可能性もあるというわけです。
木造解体で追加費用が出やすいポイント
木造住宅では、基礎の厚さや残置物の量によって追加費用が発生しやすくなります。
また解体してみて初めてわかる地中埋設物の存在も、追加費用の要因となることがあります。
費用を抑えるためにも、事前調査でどれだけリスクを把握できるかが重要になります。
鉄骨造(S造)の解体費用と注意点

鉄骨造の建物は、木造に比べて頑丈で重量があります。
鉄骨造の相場と鉄骨量による費用差の理由
鉄骨造の解体費用は 4〜6万円/坪が目安です。
鉄骨を切断するためにガス切断作業が必要となり、現場によっては鉄骨の量が多いほど費用が増えます。
また、重量のある鉄骨材を搬出する際は、クレーン車を使うこともあり、搬入・撤去の費用が追加されることもあります。
錆び・腐食が進んだ鉄骨は作業量が増えることも
老朽化が進んだ鉄骨は、ボルトが固着していることがあるため、解体に手間がかかるケースがあります。
思いのほか作業が長引く可能性もあり、事前の現地調査での見極めが重要なのです。
鉄骨造で気をつけたい“搬出ルート”の問題
鉄骨の部材は長く重いため、搬出ルートが確保できない現場では費用が大きく変わります。
クレーンを設置できない、トラックが停められないといった条件があると、作業そのものが難しくなり追加費用が発生しやすくなります。
RC造(鉄筋コンクリート造)の解体費用と注意点

最も費用が高くなるのが、RC造(鉄筋コンクリート造)です。
RC造の相場と“最も高くなる構造”といわれる理由
RC造の解体費用は 6〜10万円/坪が一般的です。
コンクリートを破砕し、鉄筋を分離しながら解体する必要があるため、工事の手間が圧倒的に増えます。
廃材の量も非常に多く、処分費だけでも木造の数倍になることがあります。
そのためRC造の解体はどうしても高額になりやすいというわけです。
RC造は工期が長くなりやすい?費用に直結するポイント
RC造は頑丈であるぶん、解体には時間がかかります。
重機を使いながら少しずつ破砕していくため、工期が長くなりやすいのです。
また振動や騒音も大きくなりやすい構造で、近隣対策が必要になる場合があります。
騒音シートの追加や作業時間の調整などが必要になると、その分費用に影響します。
近隣トラブルに発展しやすい点にも注意が必要
RC造は破砕時に粉じんも出やすく、養生の質が問われます。
適切に対策できない業者に依頼してしまうと、近隣トラブルが発生しやすくなります。
そのため、RC造の解体は特に経験豊富な業者へ相談することが大切になります。
構造別の費用比較|どの構造がどれくらい違うのか?
構造ごとの違いを踏まえたうえで、実際の費用感を整理していきましょう。
解体費用は構造そのものだけでなく、現場条件や廃材処分の量によっても変動します。
ここでは、相場の目安と注意点をより正確にまとめ直しています。
木造・鉄骨造・RC造の相場を一覧で理解する
全国的な施工データや複数の業者の価格帯を踏まえると、建物構造ごとの相場は概ね次の範囲に収まります。
- 木造:3〜5万円/坪
- 鉄骨造(S造):4〜6万円/坪
- RC造(鉄筋コンクリート造):6〜10万円/坪
構造が重く、解体に必要な作業工程が増えるほど、費用は高くなるというわけです。
特にRC造は、コンクリート破砕や鉄筋の分離、重量物の処分費が大きく影響し、最も高額になりやすい構造です。
ただし、都心部の狭小地や、重機が入りにくい敷地では、この相場より高くなるケースもあります。
相場はあくまで目安であり、最終的な金額は現場調査を行わなければ確定できません。
構造だけでは判断できない“現場条件”が費用に影響する理由
「木造だから安いはず」と思っていても、現場条件によっては鉄骨造より高くなることもあります。
構造と同じくらい重要なのが解体現場の環境であり、これが費用を大きく左右します。
接道幅が狭くトラックが入れない現場では、廃材の搬出を人力で行う必要があり、手間が増える分だけ費用も上がります。
また隣家との距離が近ければ、養生シートを増やしたり手作業解体に切り替えたりと、工事工程が変わるためコストが上昇します。
同じ構造であっても、都市部と郊外では事情が異なります。
周辺環境に余裕のある敷地と、密集地の住宅街とでは、工事のしやすさがまったく違うからです。
構造だけでは解体費用は判断できず、「構造 × 現場条件」の組み合わせが最終的な価格を決定づけるという点は、知っておきたい重要なポイントです。
追加費用が出る可能性が高い構造とは?
追加費用は構造に関係なく発生することがありますが、構造ごとに「発生しやすい要因」が微妙に異なります。
正しい知識を持っておくことで、見積りの判断もしやすくなるはずです。
アスベスト(石綿)の有無は、木造・鉄骨造・RC造のどれにも該当する可能性があります。
特に1980〜2000年代に建てられた住宅では、外壁材や屋根材にアスベスト含有建材が使われていることが多く、事前調査や除去費用が追加で発生します。
また、地中埋設物も構造に関係なく出てきます。
古い浄化槽、ブロック塀の基礎、以前の建物のガラなど、解体して初めて見つかるケースも少なくありません。
そして、構造に紐づく追加費用については次の点が重要です。
RC造は基礎が厚く、大量のコンクリート廃材が出るため、追加費用が発生しやすい。
これは事実に基づいた傾向です。RC造は構造上、基礎が強固であることが多く、破砕や搬出にかかる手間も増えるため、追加費用のリスクが比較的高くなります。
ただし、木造や鉄骨造でも、増改築を何度も繰り返した建物や、古い住宅では基礎が想定以上に厚くなっているケースがあります。
つまり、構造の違いが“絶対的な追加費用の有無”を決めるわけではありません。
あくまで、
「RC造は追加費用が発生する要因が多い構造である」
という位置づけとして理解するのが正確です。
工事を成功させるための業者選びのポイント
構造の違いを理解したあとは、業者選びが最大のポイントになります。
構造に応じた解体実績があるかを確認する
木造・鉄骨造・RC造では工事の難易度が異なります。
そのため、自分の家の構造と同じ物件の解体実績があるかどうかは、業者選びの重要な基準になります。
許認可の有無は最低限のチェック項目
解体工事業登録、産業廃棄物収集運搬許可など、必要な許認可を確実に取得しているかは必ず確認しましょう。
見積書の“透明性”が信頼できる業者の特徴
一式表記ばかりの見積書は、追加費用トラブルの原因になります。
費用の内訳が明確で、説明が丁寧な業者を選ぶことが大切なのです。
解体侍!を活用するメリット
解体工事の費用は、木造・鉄骨造・RC造といった建物の構造によって大きく変わります。
材料の種類、解体に必要な工程、廃材の量や重さなど、構造そのものが工事の難易度を決めているからです。
一般的には木造がもっとも安く、鉄骨造、RC造の順に費用が上がっていくという傾向は確かにあります。
ただし費用を左右するのは構造だけではありません。
接道の広さ、敷地の余裕、近隣との距離、重機の搬入可否といった“現場条件”によって解体のしやすさが変わり、最終的な見積りに大きく影響します。
構造と環境の組み合わせによって価格が決まる、という考え方がより正確なのです。
また追加費用が発生する要因として、アスベストの有無や地中埋設物、基礎の厚さなどが挙げられます。
特にRC造は基礎が強固で重量もあるため、追加費用が出やすい傾向がありますが、木造や鉄骨造でも増改築の影響で基礎が厚くなっているケースもあるため、構造だけで判断はできません。
だからこそ、信頼できる業者による丁寧な現地調査が欠かせません。
構造と現場条件を正しく見極めてもらうことで、見積りの妥当性が分かり、解体工事の不安も大きく軽減できるでしょう。
もし業者選びに迷ったときは、全国の解体業者を比較できる「解体侍!」を活用してみてください。
構造に合った専門業者を見つけやすく、余計な仲介手数料も不要です。












